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ブログ再開しました。 以前ほど頻繁に更新できないかもしれませんが、ぼちぼちやっていきます。

タグ:風立ちぬ

朝ドラ「とと姉ちゃん」を見ていたらヒロインたちがシベリアにかぶりつくシーンが出てきました。

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 これは横浜のコテイベーカリーさんのシベリアだそう

宮崎アニメ「風立ちぬ」でも、シべリアが登場。

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最近にわかに脚光を浴びているシベリアですが、私は結構年いっているので、シベリアの存在は知っていました。
子供のころ、パン屋に行くとショーケースの片隅に陳列されていました。
パン屋も新しく開店したような洒落たところではなく、なんとなくうらぶれた気配のある老いた主人がやっているような古ぼけたパン屋さんに置いてありました。
昭和初期には子供が食べたいお菓子№1だったと伝えられるシベリアも、時代の流れとともにどんどん隅に押しやられ、平成の時代には日常ではまず見ることもなくなりました。

シベリアという不思議な名前に加え、カステラと羊羹(こし餡)が層をなしているインパクトのあるビジュアルのためでしょうか、大正~昭和初期を舞台とするドラマや映画に時代を演出する小道具として好んで使われているのではないでしょうか。

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一見「ごちそうさん」ですが、「タイプスクープハンター」というSF番組

実は古ぼけたパン屋の陳列棚にシベリアと並んでコンビのように置いてあった絶滅危惧種の菓子パンがもう一つあります。
それが甘食(あましょく)です。

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シベリアも甘食も西日本の人は知らないらしい

円錐形の茶色のパン(焼き菓子?)。
こちらはシベリアと違って、名前も見た目も地味なので、ドラマや映画に起用されることはまずありません。

残念ながらこのどちらも、私は口にした記憶がありません。
では、何を食べていたのか?
小さな子供の頃、夕方になると業務用の自転車の頑丈そうな荷台に大きな木箱を5段ぐらい重ねて括りつけて、近所のパン屋さんがパンを売りに来ていました。
私は大人に抱き上げてもらい、様々な菓子パンが並んでいる木箱をのぞかせてもらいました。
そこで私が選んだのは、たいていチョココロネかロシアパンでした。
チョココロネは今でもバリバリの現役で頑張っているようですが、ロシアパンはあまり見かけなくなったような気がします。
かなり大きめのコッペパンに白砂糖のシロップがかけてあるシンプルな菓子パンでした。

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山崎パンではまだ製造販売しているらしいのですが、もっと大きかった記憶があります

当時の私は質より量でしたw
姉はいつもメロンパンを選んでいたような気がします。
メロンパンはマイナーチェンジと多様化を繰り返しながら、今では菓子パン界随一の成功者になりました。

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最近のトレンド、メロンパンアイス

他に見かけなくなった菓子パンというと、うぐいすパンというやつがあります。
アンパンの小豆餡のかわりに、うぐいす餡が入っている菓子パンです。
うぐいす餡というのは、青エンドウを煮て砂糖を加えて作る餡です。
パンを割ると中身が緑色なので、正直食欲をそそりません。

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これもまだヤマザキパンで製造販売しているようです

それと、これはパンではありませんが、いつも不思議だったのは「すあま」という餅菓子です。
昔は和菓子屋さんに行くとたいてい置いてありましたが、今はどうでしょう。

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見た感じはカマボコぽいっのですが、「すあま」というからには甘いのではないでしょうか。
どうやら関東圏を中心に売られているモノらしく、西日本出身の母親が買うことは決してなかったので、ついにこの餅菓子の味を知らないまま大人になってしまいました。
和菓子は道明寺だの桜餅だの鶯餅だのとだいたい小洒落た名前がついてるものですが、「すあま」ってw
素っ気ない武骨な名前がいかにも関東ぽいっですね。










 

昨日金曜ロードショーで「風立ちぬ」を見ました。

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主人公の声をアニメーション監督の庵野英明さんがやったことも話題になりましたが、良かったと思います。
ところどころド素人まる出しになってましたが、知的な技術者の声としてはぴったりでした。 

この映画で宮崎監督は、反戦やゼロ戦を描きたかったのではなくて、空を飛ぶことを夢見るもの者の生き方を描きたかったように思います。

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暗雲が立ちこめる時代の流れの中で、堀越二郎は毅然として自分の夢を追い続けました。
もちろん、リアル世界での堀越二郎さんは夢物語の中では生きられなかったようです。
堀越氏はゼロ戦の設計者と知られていますが、本人はいくつかの理由でゼロ戦が嫌いだったのだそうです。

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結核の恋人(妻)が出てくるのは、堀辰雄の「風立ちぬ」の部分ですね。
束の間の新婚生活の後、菜穂子さんは山奥の療養所に戻ります。 
恋愛の最も美しい部分を純度100%で結晶化するには、男か女、どちらか一方がこういう形で成就させるしかありません。 
生きていれば、お互いに知りたくなかった真実を知ることになります。

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喫煙シーンがやたら出てくることも、この映画の話題の一つになりました。

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商業的成功を目論むなら、今のご時世を配慮してこういうシーンは少なかったように思います。
でも、昔の映画って、タバコを吸いながら大事な会話を交わす場面が多かったような気がします。
時代背景から言ってもごく自然なことです。
禁煙団体が映画の喫煙シーンにやいのやいの言うのはちょっと野暮じゃありませんか?
嫌煙団体が目指しているのは、喫煙者との共存ではなくて喫煙文化の撲滅なのかもしれませんが、昔の事実すらも捻じ曲げようとするのはいかがなものでしょう。

ジブリ映画は毎回食事シーンもこだわっています。
今回は、シベリア。

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そう来たか、という感じです。
子供の頃、パン屋の片隅に置いてあったのはよく目にしていました。
これと甘食は、昭和の2大謎菓子パンです。

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 桜木町コティベーカリーのシベリアと甘食

ユーミンのひこうき雲も、この映画の雰囲気によくあっていました。
ただ、この曲の歌詞はよく聞くと不可解です。
ユーミンの若き日の憧れや体験を合体させて、この作品はできたようです。
メインテーマはモーツァルトのアレンジだと思っていましたが、オリジナルなんですね。

支離滅裂な感想になりましたが、この「風立ちぬ」は引退を表明した宮崎駿監督が作りたいものを作った、大人のためのジブリ作品だったのではないでしょうか。

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風立ちぬ/菜穂子 (小学館文庫)
堀 辰雄
小学館
2013-11-06


 

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