今回のテーマは腎臓です。

j1

腎臓は1日に180ℓの尿を作っている!?

j2

腎臓はいま世界の科学者たちが熱い視線を注ぐ注目度ナンバー1の臓器。

j3

実は腎臓は人体の司令塔。
常に様々なメッセージをほかの臓器に送り続けています。

j4

この腎臓のパワーを生かすことにより、様々な病気の治療に革新が起きています。
さらに健康長寿のカギを握るある物質を腎臓が調節していることもわかってきました。

j5

尿を作ってるだけだと思ったら大間違い。
健康のカギを握る巨大ネットワーク≪人体≫の要として、注目を浴びている臓器です。

j6

出演は山中伸弥先生、タモリさん、石原さとみさん、北島康介さん。
司会進行は久保田祐佳アナ。

j11

腎臓を鍛えている人たちがいる?

j12

アメリカ・フラッグスタッフ。
標高2,100mの高原です。

j13

ここは日本代表の水泳チームが長年高地トレーニングをしてきた場所。

j14

リオ五輪金メダリスト、金藤理絵選手。
大切な試合の前には必ずここに来る。

j15

酸素飽和度:血液中の酸素の割合
正常値96~99%

j16

ここ(酸素が薄い高地)では80%台になります。

j17

ところが2週間後には選手たちの酸素飽和度はほぼ正常値になっています。
これがいわゆる「高地順応」。

j18

高地順応が起こる過程で、鍛えられているのは腎臓です。

j19

酸素が足りなくなると腎臓が反応し、ある物質を出すことで体の中を変えてしまう。

j20

EPO:他の臓器に「酸素が欲しい」というメッセージを伝える物質

j22

EPOは血流に乗って全身に広がります。

j23

骨に到達したEPO。

j24

骨では内部の空洞で血液が作られています。

j25

骨の中にメッセージ物質EPOが入ると、酸素を運ぶ赤血球の増産が始まります。

j26

赤血球が増えるとより多くの酸素が筋肉に運ばれるため、運動のパフォーマンスは向上します。

j27

金藤選手の赤血球のデータ。

j28

今回の高地トレーニングでも赤血球の割合は上昇しています。

j29

臓器から臓器へメッセージ物質を運ぶ回線は、体内におよそ10万kmあると言われる血管網です。

j30

その血管網がひときわ密なのが腎臓。

j31

腎臓は人体ネットワークの要として、命の根幹にかかわる数多くのメッセージ物質を出して体の中をコントロールしています。

j32

山中メモ:
エポ(酸素が欲しいというメッセージ)は日常生活でも少しずつ出ている
腎臓がエポを作れないと重度の貧血になる

j33

ライプチヒ心臓センター。
ここは世界中から注目されている最先端の医療現場です。

j34

ターゲットは脳梗塞や心筋梗塞の原因ともなる高血圧。

j35

ユルゲン・ミッテンドルフさんは薬を飲んでも血圧が下がらない重症高血圧の患者さん。

j36

担当は心臓の専門医。
しかし、手術をする場所は腎臓です。

j39

太ももの血管からカテーテルを入れて腎臓の神経の一部を焼き切ります。
(腎デナベーション手術)

j40

実は血圧をコントロールするのも腎臓の仕事。

j41

血圧を上げるために腎臓が送っているメッセージ物質がレニン。

j42

レニンが放出されると全身の血管に変化が起こり(収縮)、血圧が上がります。

j43

レニンの放出を抑制する手術をうけた後、見事に血圧は正常範囲になりました。

j44

喜ぶミッテンドルフ夫妻。

j45

「肝腎かなめ」の言葉通り、腎臓は人体の要。

j46

山中メモ:
心臓が送り出す血液のうち約四分の一は腎臓に行く

j47

腎臓は「血液の管理者」。

j48

腎臓は血液内の様々な成分の調節もしている。
これらの成分は多すぎても少なすぎても命に関わってくる。

j49

腎臓の断面を3D電子顕微鏡で見る。

j54

この丸い球のようなものが̪糸球体。
血液を濾して尿にする場所。

j50

表面にはタコのような細胞が絡みついています。

j51

糸球体の直径は約0.2㎜。
一つの腎臓に約100万個あります。

j52

腎臓の中の血管。
大量の血液が届いていることがわかります。

j53

老廃物を含んだ血液が腎臓に入ります。
腎臓は尿を作ると同時に、成分を調節した血液も作り出しています。

j55

糸球体には血管が出入りし、糸球体は血液を濾して尿を作るフィルターの役目を果たしています。

j56

腎臓に向かう血管の中は、全身の臓器が出した老廃物と体に必要な様々な成分が入り混じっています。

j57

さらに糸球体内部の血管を進むと、壁が穴だらけに。

j58

圧力によって老廃物や成分が穴から外に吸いだされます。

j59

こうして、血液から尿が濾し出されます。

j60

しかし、これはまだ「原尿」と呼ばれる状態のもの。
体に必要な成分がまだかなり残されています。

j61

原尿は延々と続く洞窟のような尿細管に入ります。
ここで本当の尿を作ると同時に、血液の成分調節をします。

j62

尿細管の壁にはびっしりと細かな毛が(微絨毛)が生えています。

j63

微絨毛では体に必要な成分だけを再吸収して血液に戻す作業が行われています。

j64

電子顕微鏡で見た尿細管の微絨毛。

j66

微絨毛の1本1本に成分を調節するポンプのようなものが付いています。
ポンプごとに吸収する成分が決まっています。

j67

例えば、体に塩分が必要な時、塩分のポンプが活発に塩分を吸収します。

j68

再吸収された成分は運ばれて、血管に戻されます。
こうして絶妙に血液の成分は調節されているのです。

j69

腎臓模式図。

老廃物を含む血液は糸球体で濾される。

j70

体に必要な成分は尿細管で再吸収され血液に戻される。

j71

老廃物と不要な成分は膀胱へ。

j72

山中メモ:
血液の成分調整は腎臓が全部判断するのではなく、他の臓器との会話(メッセージ)を聞いて行う

j73

例えば、心臓から「疲れたしんどい」というメッセージが届いたとします。

j74

腎臓は塩分の再吸収を減らし、塩分を体外に排出します。
塩分が減れば血圧が下がり、心臓が楽になるからです。

j75

心臓だけでなく、腎臓の下には他の臓器から様々なメッセージが届けられています。

j76

糸球体の作った原尿のうち、尿として体の外に出ていくのはたったの1%。
99%は再吸収されて血液に戻されています。

j77

腎臓で1日180ℓの原尿が作られますが、尿として体の外に出るのは1.8ℓほどということになります。

j78

腎臓が寿命を決める②に続く