今回のテーマは腎臓です。

腎臓は1日に180ℓの尿を作っている!?

腎臓はいま世界の科学者たちが熱い視線を注ぐ注目度ナンバー1の臓器。

実は腎臓は人体の司令塔。
常に様々なメッセージをほかの臓器に送り続けています。

この腎臓のパワーを生かすことにより、様々な病気の治療に革新が起きています。
さらに健康長寿のカギを握るある物質を腎臓が調節していることもわかってきました。

尿を作ってるだけだと思ったら大間違い。
健康のカギを握る巨大ネットワーク≪人体≫の要として、注目を浴びている臓器です。

出演は山中伸弥先生、タモリさん、石原さとみさん、北島康介さん。
司会進行は久保田祐佳アナ。

腎臓を鍛えている人たちがいる?

アメリカ・フラッグスタッフ。
標高2,100mの高原です。

ここは日本代表の水泳チームが長年高地トレーニングをしてきた場所。

リオ五輪金メダリスト、金藤理絵選手。
大切な試合の前には必ずここに来る。

酸素飽和度:血液中の酸素の割合
正常値96~99%

ここ(酸素が薄い高地)では80%台になります。

ところが2週間後には選手たちの酸素飽和度はほぼ正常値になっています。
これがいわゆる「高地順応」。

高地順応が起こる過程で、鍛えられているのは腎臓です。

酸素が足りなくなると腎臓が反応し、ある物質を出すことで体の中を変えてしまう。

EPO:他の臓器に「酸素が欲しい」というメッセージを伝える物質

EPOは血流に乗って全身に広がります。

骨に到達したEPO。

骨では内部の空洞で血液が作られています。

骨の中にメッセージ物質EPOが入ると、酸素を運ぶ赤血球の増産が始まります。

赤血球が増えるとより多くの酸素が筋肉に運ばれるため、運動のパフォーマンスは向上します。

金藤選手の赤血球のデータ。

今回の高地トレーニングでも赤血球の割合は上昇しています。

臓器から臓器へメッセージ物質を運ぶ回線は、体内におよそ10万kmあると言われる血管網です。

その血管網がひときわ密なのが腎臓。

腎臓は人体ネットワークの要として、命の根幹にかかわる数多くのメッセージ物質を出して体の中をコントロールしています。

山中メモ:
エポ(酸素が欲しいというメッセージ)は日常生活でも少しずつ出ている
腎臓がエポを作れないと重度の貧血になる

ライプチヒ心臓センター。
ここは世界中から注目されている最先端の医療現場です。

ターゲットは脳梗塞や心筋梗塞の原因ともなる高血圧。

ユルゲン・ミッテンドルフさんは薬を飲んでも血圧が下がらない重症高血圧の患者さん。

担当は心臓の専門医。
しかし、手術をする場所は腎臓です。

太ももの血管からカテーテルを入れて腎臓の神経の一部を焼き切ります。
(腎デナベーション手術)

実は血圧をコントロールするのも腎臓の仕事。

血圧を上げるために腎臓が送っているメッセージ物質がレニン。

レニンが放出されると全身の血管に変化が起こり(収縮)、血圧が上がります。

レニンの放出を抑制する手術をうけた後、見事に血圧は正常範囲になりました。

喜ぶミッテンドルフ夫妻。

「肝腎かなめ」の言葉通り、腎臓は人体の要。

山中メモ:
心臓が送り出す血液のうち約四分の一は腎臓に行く

腎臓は「血液の管理者」。

腎臓は血液内の様々な成分の調節もしている。
これらの成分は多すぎても少なすぎても命に関わってくる。

腎臓の断面を3D電子顕微鏡で見る。

この丸い球のようなものが̪糸球体。
血液を濾して尿にする場所。

表面にはタコのような細胞が絡みついています。

糸球体の直径は約0.2㎜。
一つの腎臓に約100万個あります。

腎臓の中の血管。
大量の血液が届いていることがわかります。

老廃物を含んだ血液が腎臓に入ります。
腎臓は尿を作ると同時に、成分を調節した血液も作り出しています。

糸球体には血管が出入りし、糸球体は血液を濾して尿を作るフィルターの役目を果たしています。

腎臓に向かう血管の中は、全身の臓器が出した老廃物と体に必要な様々な成分が入り混じっています。

さらに糸球体内部の血管を進むと、壁が穴だらけに。

圧力によって老廃物や成分が穴から外に吸いだされます。

こうして、血液から尿が濾し出されます。

しかし、これはまだ「原尿」と呼ばれる状態のもの。
体に必要な成分がまだかなり残されています。

原尿は延々と続く洞窟のような尿細管に入ります。
ここで本当の尿を作ると同時に、血液の成分調節をします。

尿細管の壁にはびっしりと細かな毛が(微絨毛)が生えています。

微絨毛では体に必要な成分だけを再吸収して血液に戻す作業が行われています。

電子顕微鏡で見た尿細管の微絨毛。

微絨毛の1本1本に成分を調節するポンプのようなものが付いています。
ポンプごとに吸収する成分が決まっています。

例えば、体に塩分が必要な時、塩分のポンプが活発に塩分を吸収します。

再吸収された成分は運ばれて、血管に戻されます。
こうして絶妙に血液の成分は調節されているのです。

腎臓模式図。
老廃物を含む血液は糸球体で濾される。

体に必要な成分は尿細管で再吸収され血液に戻される。

老廃物と不要な成分は膀胱へ。

山中メモ:
血液の成分調整は腎臓が全部判断するのではなく、他の臓器との会話(メッセージ)を聞いて行う

例えば、心臓から「疲れたしんどい」というメッセージが届いたとします。

腎臓は塩分の再吸収を減らし、塩分を体外に排出します。
塩分が減れば血圧が下がり、心臓が楽になるからです。

心臓だけでなく、腎臓の下には他の臓器から様々なメッセージが届けられています。

糸球体の作った原尿のうち、尿として体の外に出ていくのはたったの1%。
99%は再吸収されて血液に戻されています。

腎臓で1日180ℓの原尿が作られますが、尿として体の外に出るのは1.8ℓほどということになります。

腎臓が寿命を決める②に続く

その血管網がひときわ密なのが腎臓。

腎臓は人体ネットワークの要として、命の根幹にかかわる数多くのメッセージ物質を出して体の中をコントロールしています。

山中メモ:
エポ(酸素が欲しいというメッセージ)は日常生活でも少しずつ出ている
腎臓がエポを作れないと重度の貧血になる

ライプチヒ心臓センター。
ここは世界中から注目されている最先端の医療現場です。

ターゲットは脳梗塞や心筋梗塞の原因ともなる高血圧。

ユルゲン・ミッテンドルフさんは薬を飲んでも血圧が下がらない重症高血圧の患者さん。

担当は心臓の専門医。
しかし、手術をする場所は腎臓です。

太ももの血管からカテーテルを入れて腎臓の神経の一部を焼き切ります。
(腎デナベーション手術)

実は血圧をコントロールするのも腎臓の仕事。

血圧を上げるために腎臓が送っているメッセージ物質がレニン。

レニンが放出されると全身の血管に変化が起こり(収縮)、血圧が上がります。

レニンの放出を抑制する手術をうけた後、見事に血圧は正常範囲になりました。

喜ぶミッテンドルフ夫妻。

「肝腎かなめ」の言葉通り、腎臓は人体の要。

山中メモ:
心臓が送り出す血液のうち約四分の一は腎臓に行く

腎臓は「血液の管理者」。

腎臓は血液内の様々な成分の調節もしている。
これらの成分は多すぎても少なすぎても命に関わってくる。

腎臓の断面を3D電子顕微鏡で見る。

この丸い球のようなものが̪糸球体。
血液を濾して尿にする場所。

表面にはタコのような細胞が絡みついています。

糸球体の直径は約0.2㎜。
一つの腎臓に約100万個あります。

腎臓の中の血管。
大量の血液が届いていることがわかります。

老廃物を含んだ血液が腎臓に入ります。
腎臓は尿を作ると同時に、成分を調節した血液も作り出しています。

糸球体には血管が出入りし、糸球体は血液を濾して尿を作るフィルターの役目を果たしています。

腎臓に向かう血管の中は、全身の臓器が出した老廃物と体に必要な様々な成分が入り混じっています。

さらに糸球体内部の血管を進むと、壁が穴だらけに。

圧力によって老廃物や成分が穴から外に吸いだされます。

こうして、血液から尿が濾し出されます。

しかし、これはまだ「原尿」と呼ばれる状態のもの。
体に必要な成分がまだかなり残されています。

原尿は延々と続く洞窟のような尿細管に入ります。
ここで本当の尿を作ると同時に、血液の成分調節をします。

尿細管の壁にはびっしりと細かな毛が(微絨毛)が生えています。

微絨毛では体に必要な成分だけを再吸収して血液に戻す作業が行われています。

電子顕微鏡で見た尿細管の微絨毛。

微絨毛の1本1本に成分を調節するポンプのようなものが付いています。
ポンプごとに吸収する成分が決まっています。

例えば、体に塩分が必要な時、塩分のポンプが活発に塩分を吸収します。

再吸収された成分は運ばれて、血管に戻されます。
こうして絶妙に血液の成分は調節されているのです。

腎臓模式図。
老廃物を含む血液は糸球体で濾される。

体に必要な成分は尿細管で再吸収され血液に戻される。

老廃物と不要な成分は膀胱へ。

山中メモ:
血液の成分調整は腎臓が全部判断するのではなく、他の臓器との会話(メッセージ)を聞いて行う

例えば、心臓から「疲れたしんどい」というメッセージが届いたとします。

腎臓は塩分の再吸収を減らし、塩分を体外に排出します。
塩分が減れば血圧が下がり、心臓が楽になるからです。

心臓だけでなく、腎臓の下には他の臓器から様々なメッセージが届けられています。

糸球体の作った原尿のうち、尿として体の外に出ていくのはたったの1%。
99%は再吸収されて血液に戻されています。

腎臓で1日180ℓの原尿が作られますが、尿として体の外に出るのは1.8ℓほどということになります。

腎臓が寿命を決める②に続く

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