戦艦武蔵の最期~映像解析・知られざる”真実”~

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2015年3月 フィリピン・シブヤン海
マイクロソフトの共同創業者で実業家のポール・アレン氏による海底探査プロジェクト。 

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8年にわたる捜索の結果、ついに武蔵発見の歴史的瞬間が訪れた。

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全長5m、重さ15tともいわれる巨大な碇。

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艦首に残されていた菊の紋章の痕跡。

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武蔵発見のニュースは世界を駆け巡った。

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今回NHKは100時間を超える未公開映像を入手。
そこには知られざる武蔵の姿が記録されていた。

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武蔵が見つかった場所は深海1200mの海底。
微生物の少ない低水温が腐食を最小限にとどめていた。

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武蔵の木甲板。
張られてあったヒノキの板が今も残っていた。

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映像には乗組員たちが身に着けたものも映されていた。

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探索チームはソナー探知機で海底の状況も詳細に調べていた。
音波を使い残骸の形や大きさなどのデータを収集。
その結果驚くべき事実が明らかになった。

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武蔵は1㎞四方の広範囲にバラバラに散らばっていた。

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千切れた艦首の残骸。
そこから150m離れた場所に裏返った艦尾が見つかった。

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そのほかのパーツは原形をとどめないほど粉々に砕け散っていた。

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太平洋戦争勃発の3年前、極秘に建造が始まった武蔵。
その存在は軍の最高機密で、関連資料は戦後ほとんど焼却された。

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全体の図面は戦後復元されたものしかない。
最大の特徴は、不沈艦と言われた構造。

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内部は1000以上の区画に細かく分けられ、多少の浸水では沈没せず戦い続けられるように設計されていた。

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さらに、エンジンなどの心臓部を守る装甲板は世界一の厚さを誇り、あらゆる攻撃に耐えられるとされていた。

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なぜ技術の粋を集めた無敵の不沈艦は沈み、粉々に砕け散ったのか?

今回NHKは100時間を超える映像を徹底的に解析し、武蔵の最期に迫るプロジェクトを立ち上げた。

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集まったのは、造船技師や歴史学者、爆発の専門家などの7人。

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入手した映像を1000万枚の画像に分解。

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それらを1枚1枚つなぎ合わせ3次元の立体モデルを作成していく。

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最初に復元されたのは戦艦武蔵の中枢である巨大な艦橋。
高さ31m、10階建てのビルに相当する。

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そこに千切れた艦首をつなぎ合わせる。

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全長263m。
ジャンボジェット3機分の大きさ。

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武蔵の主砲の一部。

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内部には160発の主砲弾が格納されていたと見られる。

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 主砲の46センチ砲は前方に2基、後方に1基搭載。

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40㎞先の敵艦を正確に撃破することができたとされる。

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主砲を撃つ武蔵をとらえた唯一の写真。

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武蔵の構想が始まったのは、艦隊の強さが重視された大艦巨砲主義の時代。

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昭和8年日本は国際連盟を脱退し国際的に孤立。
軍縮条約により主力艦の保有比率をアメリカの6割に制限された。

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こうした時代背景の下、数を補う強力な巨大戦艦、大和と武蔵の計画が進められた。 
 
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太平洋戦争末期、フィリピン・レイテ島に侵攻するアメリカ軍をせん滅するため、武蔵は大和とともに出撃した。 
しかしその作戦の途中、武蔵はシブヤン海で沈没した。

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武蔵はどのような最期を遂げたのか?
映像解析を進めるにつれ、その真相が明らかになってきた。

艦首左側、鉄板が3.5mにわたり大きく曲がっていた。

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損傷していたのは分厚い装甲板の外側。
魚雷の爆発で鉄板がまくれ上がったと考えられる。

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 水の抵抗と浸水で武蔵の機動力が落ちたと推測できる。

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この損傷は、武蔵が想定していた戦艦同士の戦いによるものではなかった。
武蔵を攻撃したのは、航空機だった。

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レイテ沖海戦で武蔵攻撃作戦に参加したボブ・フリーリーさん(95)。
アメリカ海軍のパイロットたちは、至近距離から魚雷を命中させる訓練を重ねていたという。

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日本の真珠湾攻撃で空からの攻撃の脅威を知ったアメリカは、戦況を左右するのは航空機であるという認識を新たにした。

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アメリカが最高機密である武蔵の情報をつかんだのはレイテ沖海戦の半年以上前。

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アメリカは空からの波状攻撃で 撃沈する戦術を練り続けていた。

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アメリカの航空機の攻撃によって生じた”まくれ”。
艦首に大量の浸水があったと考えられる。

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攻撃を受けた後の武蔵。
艦首が沈んでいるのがわかる。

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しかし、艦首からの浸水だけでは武蔵は沈まないという事実が今回明らかになった。

艦首の部分を浸水させるシュミレーションをおこなったところ、中央部と後方に浮力が残り、これ以上沈まないという結果が出た。 

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 NHKスペシャル 12月4日放送~戦艦武蔵の最期 ②に続く