杉山金庫は、東京都墨田区にある大正時代から営業する金庫店。

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開かなくなった金庫を開けてほしいという依頼に応じることもあり、その際「(金庫は)もういらないから持っていってほしい」と言われることもあるそうです。
そういった金庫の中にはたいへん貴重なものもあるそうです。 

この方が、杉山金庫3代目社長、杉山泰史さん(50)。
杉山金庫は鍵の製作、金融機関の金庫のメンテナンスなどが主な業務です。

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区からの要請で事務所の一角を「金庫と鍵の博物館」として一般開放しています。
第1・第3土日オープン(要予約)

杉山金庫が代々コレクションしてきた銭箱(江戸時代)や錠前などが陳列されています。
この博物館はタモリ倶楽部(2012年8月12日放送)でも紹介されていました。

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そして中でも珍しいのが、開かなくなった金庫を開けた代わりに戦利品として持ち帰ってきた金庫です。

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① 昭和初期製造 フランス製「フィシェ」

フィシェは一言でいえば、金庫に見えない金庫。
一見タンスのようです。

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鍵穴もニセモノ。

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本物の鍵穴を見つかられる人は4人に1人ぐらい。

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杉山社長も鍵穴を見つけることができなかったそうです。
 
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よくよく見ると上段の枠に切れ目があります。

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ここを押し下げると、鍵穴が出てくるという仕掛け。

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このような金庫を置く場合には、もう一つ金庫を買うことがポイント。

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金庫らしい金庫にいくらかお土産を入れておいて、そちらを盗ませる。
これで、本当に大事なものを入れてある隠し金庫を守ることができます。 

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② 昭和35年製造 イギリス製「チャブ」

杉山社長によれば、「チャブ」はこの博物館の中の最強金庫。

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チャブ・ロック社は1818年創業、世界最大級の鍵・金庫メーカー。

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この金庫は成田空港そばのホテルの宝石店に置かれていたものだそうです。

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ダイヤルは、1~100までの数字のひとつを4つ合わせます。

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数字の組み合わせは100の4乗で1億通り。
一つの組み合わせを試すのに1分かかるとすれば、1億すべて通り試すには200年かかります。

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扉は40ミリの特別な鋼板なのでピッキングは無理。

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この金庫用の鍵はかなり長いので、先端だけを取り外して携帯することができます。

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さらに金庫の心臓部には凧ひもが通っており、その先端には分銅がついています。

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無理に金庫の扉をこじ開けると、凧ひもが切れ分銅が左下隅の筒(黄色い矢印)に落ちてしまいます。

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筒に分銅が入ると扉がロックされて開けることができません。
最新のチャブ社の金庫にも凧ひもが使われているそうです。

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 有吉&マツコ、社長のどや顔に注目w

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墨田区最強説w

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③ 昭和12年製造 日本陸軍製造「防盗金庫」
 
杉山社長によれば、これは世界に一つしかない幻の金庫。

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それがこちら。
先代社長が所蔵主を口説き落として持ち帰ったものだそうです。

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30台製造され、現存が確認されているのはこの1台のみ。

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50個のボタンのうち、5個を押すと開く仕組みです。
他に錠前とダイヤルも付いています。

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 キーワードは”スギヤマ”。

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 扉の内側には積算カウンターがあり、金庫を何回開けたかわかるようになっています。

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関係者以外の人間が金庫を開ければ、カウンターの数字で判明します。

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約80年経った今もこの金庫は全く故障していないそうです。 

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先代社長は何度も持ち主のところに通った末、やっとこの金庫を譲ってもらったそうです。

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お金を払ったかどうかはお父さんしか知らない。

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杉山社長は鍵師歴30年、日本鍵師協会の講師も務めているそうです。
それを聞き、社長の滑らかな弁舌とどや顔に納得した有吉&マツコw
 
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