① 入江早耶 作 「ベンテンダスト」

アート作品に使うカスは、消しゴムのカス。

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こちらが作者の入江早耶さん。
広島市立大学の研究員として広島を拠点に活動。

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消しゴムのカスを使った作品で、数々の賞を受賞してきました。

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どのように作品を作るかというと…。

まず画像を消しゴムで消し、そこからでたカスを材料にして作品を作ります。

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9年間で100点以上の作品を制作してきましたが、その中でも最大の作品が「ベンテンダスト」。
20個の消しゴムを費やした大作ですが、とても繊細な作品です。

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掛け軸の弁天様が消え、立体化して生まれ変わりました。

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②  小和田成美 作 「ドレス・クラック」

小和田さんが使うカスは、鉛筆の削りカス。

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こちらが小和田成美さん。
東京芸大大学院に在学中。

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工程1.削りカスがちぎれないように慎重に削る

工程2.大きさ別にカット

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工程3.同じサイズをボンドで貼り合わせる

ひたすら「削って⇒貼る」を繰り返す。

こうしてできる作品がこれ。

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製作日数2か月、鉛筆20本を費やしました。 

そして、鉛筆80本を使った渾身の作品が「ドレス・クラック(ドレスをまとった雌鶏)」。

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横:約70cm、高さ:約60cm。

この作品で小和田さんは「エコ&アートアワード2013」で協賛社特別賞を受賞しました。

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受賞しても、大学内では特に話題にはならなかったそうです。

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小和田さんが今までで一番苦労したのは芸大受験。

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芸大は2浪で受かれば普通です。
(某年の芸大美術学部の公表では、現役2割、1浪3割、2浪、3浪各2割、4浪以上1割) 
 
③ 小松輝幸 作 「アジの開き」

最後の作品は、コーヒーを入れた後に出る豆カスを使います。

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作者は小松輝幸さん。
静岡県でIT会社を営む社長さん。

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 コーヒー好きで1日10杯以上飲み、毎日出る大量の豆カスを何とかしたいと思ったのがきっかけだそうです。

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しかし、豆カスを画材に利用しようとすると、これがなかなか手間です。

まず、コーヒー豆を焙煎して色を付けます。

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焙煎を加減することにより、16色の豆カスを作ります。

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麻袋に下絵を描き、ボンドを塗り、豆カスをのせる。
これをひたすら繰り返します。

こうしてできた作品は約50点。

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そんな中でも、2か月かけて完成させた渾身の作品が「アジの開き」。

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よく見ると、アジの開きの端が盛り上がっています。

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豆カスとボンドを混ぜて粘土状にしたものをのせて立体化しているそうです。

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リサイクル・アートといっても、カスを作り出すのも大変な作業。
そして、どの作品も気が遠くなるような根気が必要そうです。



夢見るペットボトル―癒しのリサイクルアート
くわはら よしお
文芸社ビジュアルアート
2009-06