1996年公開、森田芳光監督・脚本。

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今(2016年)からちょうど20年前の映画です。

10年前ぐらいの映画やファッションは古臭さやダサさが目立ちますが、20年も前だと懐かしさしかありません。
たぶん、35歳位から上の世代はとても懐かしさを感じる映画なのではないでしょうか。

逆にこの時代を知らない10代、20代のコたちはこの映画を見てどんな感想を持つのかを知りたくなります。

1996年当時はこの作品は最先端でスタイリッシュな映画を意識していたと思います。

ダボッとした男性のスーツ、前髪を垂らした女子の髪型はまだバブル期の名残りがありますが、女子の眉毛の太さもやや細くなり、バブルが弾けた後ようやく世の中がそれなりに落ち着きを取り戻してことを感じさせます。

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パソコン通信は今や死語ですね。
メールも昔は電子メールと言っていました。
電子メールはeメールになり、ついにメールに。

電話回線接続の「ピーガァ――‐バツッ」という音が懐かしい。
あの音を聞くと、当時はとても特別な事を自分がやっているのだという気になったものです。

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この20年におけるPCや携帯電話などのコミュニケーション・ツールの発達は目覚ましいものがあります。
確かに便利になりましたが、街で歩きながらスマホとにらめっこをしている人達の姿を見ると、どうなんだろうとも思います。
猫背でスマホにかじりついている人の姿は客観的に見てカッコよいものではありません。

(ハル)の主人公たちはなんだかとても純真です。
ウソをついたりしていますが、根がピュア。
卑猥なメールを送っていたローズにしても、中身はすごく堅実な女性でした。

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ストーカーでさえも、引き際を知っていました。
この頃からストーカーという言葉はあったと思いますが、ストーカーが本格的に社会問題化したのは1999年の桶川ストーカー殺人事件から。
この事件を機にストーカー規制法が制定されました。
それ以前のストーカーは男女の痴話げんかの延長、しつこい異性程度の認識しかなかったように思います。

2000年代になってから、コミュニケーション・ツールを使った犯罪が増えてきたように思います。
振り込め詐欺、フィッシング詐欺、出会い系サイト絡みの事件等々。
こうした電話、ネット関係の新手の犯罪が増加してきたため、個人情報保護法などが制定され、人々も自分の個人情報管理については神経質なまでに意識をするようになってきました。

こういう現代から見ると、20年前のパソコン通信黎明期は人々はまだ純朴でのんびりとしていたように思えてしまいます。

新幹線に乗ったハルを線路の近くで待つほし。
時速200kmの新幹線がほしの前を通過するとき、お互いにハンカチを振りながらビデオを撮り合う。
オジサンが見ると、感動的な初めての出会いのシーンですが、今のコが見たらどう思うのでしょうか。
「まだるこっしいことやってないで、とっとと画像交換しとけよ」、と思うかもしれません。

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PCの機能が発展途上にあったあの時代だからこそ、このラブストーリーは成立したのでしょう。

内野聖陽がまんま内野聖陽なのは笑ってしまいました。
今大河ドラマで徳川家康を熱演している内野さんですが、なんていうか今は年相応に老けてはいるのですが若い頃も同じ顔をしているのです。

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変わらないと言えば、平泉成さんも変わっていない。
ほしのお父さん役でほとんど引きの画での出演でしたが、シルエットが今と同じでした。

男目線で見ると、メールだけでやり取りをしていた女性が実は深津絵里(のような美女)だったら、そら、テンション上がりますわw
恋愛映画だから美男美女のカップルなのは当たり前、わかってはいるのですが現実の厳しさを思ってしまいます。

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森田芳光監督は様々なタイプの映画を撮っていますが、いつも人の心に引っかかるような作品を世に送り続けてきたような気がします。
もう少し森田芳光作品を見てみたかった。
残念です(/ ;)合掌。