私は人魂を見たことがあります。
(最初に言っておきますが、私は幽霊などオカルト的なものは信じていません)

大学を卒業してサラリーマン1年目の頃ですから、もうだいぶ昔のことです。

東京に赤坂見附というところがあります。
丸ノ内線の赤坂見附駅を降りて青山通りを上ると、虎屋本店の黒いビルがあります。
勤めていた会社はそのすぐ近くでした。

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ヨーカン業界の雄 虎屋赤坂本店

ある日、私は同期とともに会社を出て駅に向かう路地裏を歩いていました。
途中にお寺があり、そのお寺に隣接する小さな墓地にさしかかったところでした。
私は見たのです。
赤く燃えさかる火の玉が突然墓地から出現し、不規則に浮遊しているのを…。
「あ、人魂だ…」
同期は私が指差す方向を見て、
「…ほんとだ」
と呟きました。
それで、自分は幻を見ているのではないことを確認しました。

私たちはしばし立ち止まって人魂の浮遊を見ていましたが、すぐに人魂は墓地の塀の陰に隠れて見えなくなりました。
再び駅に向かって、私たちはとぼとぼと歩き始めました。
「……」
特に会話はなかったように思います。
どういう用があったかは忘れましたが、就業中の身ですからそれほど暇ではなかったのでしょう。

今思うととても貴重な体験をしたとは思うのですが、都会の真ん中で、真昼間にサラリーマンが人魂を見ると、現実のリアクションはこんなものなのです。

特にサラリーマン1年生の私たちは会社に慣れるのが精一杯で、この頃心の余裕というものがまるでなかったのだと思います。

人魂とは書きますが、私はあれが人の魂だとは思っていません。
おそらくは科学的に説明できる一つの自然現象なのだと思います。


人魂












古今東西”人魂”の目撃情報は報告されているようです

最初に書いたように、私は幽霊は信じていません。

ですが、真夜中に裏山の(出ると噂のある…)神社に置いてあるお札を一人で取ってこいと言われたら…。
十万単位ごときでは動きません、ゼッタイ。