アウトドアはお好きですか?
私も若い頃は山登りやキャンプに親しんだのですが、最近は読書やゲームに興じるもっぱらのインドア派です。
今回はインとアウトのバランスを取る意味で(意味不明ですが)、いくつかの文学作品の中から素敵なアウトドア料理をご紹介してみたいと思います。

まず最初はアメリカ文学の不朽の名作「ハックルベリイ・フィンの冒険」に登場するアウトドア料理です。
アウトドア料理の最高のスパイスは何よりも”状況”だということが、この作品でよくわかります。

ハックルベリイ・フィンは飲んだくれでDV癖のある父親のもとから逃げ出し、ミシシッピー川の無人島に身を潜めます。
そこで、彼と同じく島に隠れていた黒人奴隷のジムと再会します。
ジムは自分が売られそうになっているのを知り、家族と離れ離れになることを恐れて逃げたのです。

二人は無人島を探検し、山の中腹にある大きな岩穴を発見します。
ジムの提案で、その岩穴に二人の持ち物を運び入れました。
釣った魚を料理して、岩穴で二人が夕食を食べ始める頃、夏の嵐が無人島を襲います。

風雨が吹き荒れ、稲妻が光り、凄まじい音を立てて雷が落ちる様を見ながら、二人は絨毯代わりに毛布を敷いた岩穴の中で夕食を食べています。

「ジム、こいつは素敵だ。ここよりほかどこにも行きたいと思わないよ。魚肉の大切れをもう一切れととうもろこしパンの熱いやつをおくれ」
「このジムじいやがいなかったらあんたさんはここにゃいなさんなかっただよ。あの森ん中で夕食も食べず、ぐしょ濡れになってなすってでや、坊ちゃん。鶏は雨をちゃんと知ってるし、小鳥だってそうよ」

ーマーク・トウェイン作 村岡花子訳 ハックルベリイ・フィンの冒険よりー
               
↑朝の連ドラ「花子とアン」の主人公です。

この無人島の岩穴で夕食を食べる場面は、ハックルベリイ・フィンが人生で一番大事なものー温かい食べ物、安全な居場所、信頼できる友ーを獲得した瞬間です。

荒れ狂う夏の嵐を見物しながら、釣った魚とできたて熱々のとうもろこしパンを無人島の岩穴で食べる…男の子なら誰もが憧れるシチュエーションです。

もちろん、ハックルベリイ・フィンは安全な場所にいつまでも留まるような少年ではないので、ここからさらなる冒険に旅立つのですが…。

corn
できたてコーンブレッド



































































































































































































































































































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