海外ではゴキブリをペットにしている人もいるようですが、大多数の日本人はゴキブリは苦手だと思います。

あのどこにでも忍び込める薄べったいフォルムにテラテラ光る茶色のボディ。
人を惑わす俊敏な動きに加え、飛翔もできる。

虫のクセして高性能で、厚かましくも人様の住居に住み着いているのが許しがたい。
しかも、ヒトの髪や垢も食料にする雑食性で繁殖力も凄まじい。
カワイイ要素ゼロです。

人を見て逃げるだけならまだいいのですが、天井などに張り付いていると逆ギレしてこっちに向かって飛んでくることがあります。

一体何を考えているのでしょう。

ところで、私が住んでいる街にはちょっと有名なラーメン屋さんがあります。

背脂コッテコテの味噌ラーメンがイチ押しで、店の前にはいつもちょっとした行列ができています。

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ある夏の夕べ、私はそこのラーメン屋さんの行列に加わりました。
店の前には簡単な木のベンチがあり、10分ほど待ってようやくそのベンチに座る権利を得るところまで順番が進みました。

商店街の道路をはさみ、ラーメン店の向かい側は空き地になっていました。
その空き地の暗がりから、2つ3つほどの黒い物体が現れ道路を横断してこっちにやってくるのが見えました。

その走り方で、ゴキブリだとすぐに知れました。
ラーメン屋の換気扇からモウモウと出る脂の匂いに誘われ、奴らは決死の攻撃を仕掛けてきたのです。
おそらく、奴らは空き地となる前の店舗に住み着いていたゴキ一族の残党と思われます。

すぐに並んでいる若い女性たちの間から悲鳴が湧き上がりました。
一匹のゴキブリは何を思ったか、クォーターパンツを履いた私のむき出しのスネを駆け上りました。
私は無言でそいつを振り払いましたが、世間に許されるのなら私も女子たちと一緒に「キャー」と叫びたいところでした。

悲鳴を聞きつけ、店内から若い店員がホウキとチリトリを持って出てきました。
逃げるゴキブリを容赦なくホウキで叩き潰し、死骸をチリトリに掃き入れます。
そのまったく無駄のない動きで、彼がこの業務にだいぶ慣れていることがわかりました。

彼はゴキブリを2匹やっつけると、何事もなかったかのように店の中に戻って行きました。

ヒーローの登場によって行列コミュニティは平和を取り戻しましたが、その平和は長く続きませんでした。

またしても奴らが数匹、道路を渡ってこちらに突進してきたのです。
主を失い空腹の奴らにとって、今や人間約1ダース<脂の匂いなのです。
 
再び行列コミュニティから悲鳴が沸き起こり、先程と同じくホウキとチリトリを持ったヒーローが店内から登場しました。

正確無比なホウキ・クラッシュは、今度も2匹のゴキブリを処理しました。

幸いにも次の突撃隊が来る前に私は店内に入ることが許されましたが、ラーメンを待っている間も店の外から悲鳴が聞こえました。

きっと彼らは全滅するまでこの突撃を繰り返すのでしょう。
敵ながら、その敢闘精神はあっぱれでした。

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  空地には和菓子屋さんができました。

さて、今年もゴキブリのシーズンを前にして、ゴキブリ駆除商品を購入しました。

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ここ数年、この置きエサタイプを仕掛けているせいか、家の中でゴキブリに遭遇することは少なくなってきたような気がします。
そして、夏の間は水回りと台所は特に丹念に掃除します。

ゴキブリ君、どうか私には見えないところで幸せに暮らしてください。