昨夜、映画「もののけ姫」を見ました。

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自然と人間の問題は、地球環境保護の機運が高まっている昨今とみに扱われるテーマです。

人類の歴史は、エネルギーの採取と変換の歴史でもあります。

遠いご先祖は、おそらく他の動物たちと同じように木の実や小動物を食べて細々と生きながらえてきたのでしょう。
ところが、長い年月の中で発達した人間の脳は道具の発明や農耕を可能にし、食料の生産力を飛躍的に高め、それによりさらに生活の向上(文明)を可能にしました。 

この文明の発展の過程で、人類はさまざまなエネルギーを生活向上のために利用してきました。

火は食料を調理し、体を温めました。
水は肥沃な大地を作り、作物の生産性をあげます。

時代が進むと、人類は新たなエネルギーを獲得し、その変換法を開発します。

石炭・石油・天然ガスは膨大なエネルギーの獲得を可能にしました。
石炭と水蒸気のエネルギーを動力にする鉄道や船が発明されます。
エンジンの発明で石油のエネルギーを動力に変換し、自動車や飛行機が登場します。
水や火のエネルギー利用もさらに応用が進み、電力に変換されました。
工場では電力やガスのエネルギーが利用され、製品の大量生産を可能にしました。

「もののけ姫」に登場する鉄も、大切な文明の礎です。
現在でも鉱工業生産指数は経済活動の動向を示す重要な経済指標とされています。

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このように自然資源を巧みに利用し、消費することにより、人類は豊かな生活を築き上げてきました。
人は昔より、豊かで快適な環境の下で長く生きられるようになったのは事実でしょう。

しかし、良いことばかりではないことはご存じの通りです。
大気汚染や地球温暖化、森や動物などの自然資源の枯渇など様々な深刻な問題が表面化してきました。

加えて、人類は原子力という新たなエネルギー獲得の手段を見出しましたが、これは先の大地震で明らかになったように人間のコントロール下にある安全なエネルギーとは言い難いものです。
原子力発電所のリスクは事故や天災だけでなく、他国やテロ組織の攻撃対象になり得るというリスクもあります。
原子力に見切りをつけた国もある一方で、日本のように経済競争を勝ち抜くために原子力を使い続けている国もあります。

現代は、人間の欲望が地球と自分自身を危険に晒していることを明白にしている時代です。

もののけ姫の最後で、アシタカは人間と自然が共存できる方法を考えたいと言い、もののけ姫のサンに一緒に暮らそうと申し出ます。
しかし、サンはともに暮らすことは拒絶します。

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未だ人間は、自然との和解はできていません。
和解できる方法を皆さんで考えてほしい、それがこの映画のメッセージだと思います。

もののけ姫 [Blu-ray]
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
2013-12-04



もののけ姫 [DVD]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2014-07-16



The art of the Princess Mononoke―もののけ姫 (Ghibli the art series)
スタジオジブリ
徳間書店/スタジオジブリ・カンパニー
1997-08